紅色に染まる頃
そう言ったものの、美紅も伊織もこれと言って行きたい所が思いつかない。

「新しい時の宿の下見として、北海道か沖縄に行くのはどうですか?」
「そこは新規開拓チームが見に行くことになってるよ」
「うーん、それじゃあどこか別の…。四国とか九州とか?」

副社長室に戻ってからも考え込む美紅に、伊織が笑う。

「美紅、仕事のことは置いておいて。単純に美紅が行きたい所はどこ?海外でもいいんだよ?」
「えー、そう言われると更に分からなくて。伊織さんと一緒なら私はどこでも」
「俺もだよ。美紅と一緒ならそれだけでいい」

真顔で考え込み、しばらくして二人同時に笑い出す。

「ま、いっか!のんびり考えよう」
「そうですね」

二人は微笑み合って、また仕事に戻った。
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