紅色に染まる頃
席札が置かれた丸テーブルに紘とエレナと一緒に座ると、伊織の両親が歩み寄って来た。

「やあ、美紅さん。こんばんは。よく来てくれたね」
「美紅さん、来てくださって嬉しいわ。今夜も素敵なお着物ね」
「こんばんは。お招き頂きありがとうございます」

美紅達は立ち上がって挨拶する。

「紘くんもようこそ。今夜はまた素敵なレディとご一緒だね」
「ご無沙汰しております、本堂社長。彼女はエレナといいます」
「初めまして、エレナと申します」

にこやかにお辞儀をするエレナに、伊織の母はうっとりと頬に手をやる。

「まあ、なんてお美しいのかしら。美男美女のお似合いカップルで、思わず見とれてしまうわね」
「ありがとうございます」

そう言ってエレナは紘と見つめ合い、照れたようにふふっと笑う。

その姿にまた伊織の母は、はあ…とため息をついていた。
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