紅色に染まる頃
「日本クラシックホテル、ですか?」
「そう。西洋文化が日本に伝わる明治の文明開化の時代に、ホテル文化を日本に導入してきたホテルのこと。第二次世界大戦以前に建てられて、その建物を維持し、文化財や産業遺産などの認定を受けている、とかの条件を満たした9つのホテルが日本クラシックホテルの会を発足させたんだ。ここはそのうちの一つ」
「そうなのですね」
カフェレストランでランチを食べながら、美紅は伊織の話に興味深く耳を傾ける。
「ちなみに今君が食べているドリア。それもここが発祥の地なんだよ」
「ええ?!日本でってことですか?西洋の食べ物ではなくて?」
「そう。ここの初代総料理長が、体調が優れないお客様の為に即興で考案した料理なんだ。あとは、ナポリタンやプリン・ア・ラ・モードもここで生まれた」
「本当に?!」
「ああ。GHQに接収されていた時に考案されたメニューらしいよ」
美紅はもう驚きの言葉しか出てこない。
「このホテルには、そんな歴史が詰まっているのですね。なんだかタイムスリップしたような気分…」
両手で頬を押さえてから、美紅は身を乗り出して伊織に尋ねる。
「本堂様。お食事の後、じっくり館内を見て回ってもよろしいでしょうか?」
「もちろん」
伊織は目を輝かせる美紅に、ふっと笑みを洩らした。
レストランを出ると、館内を隅々まで見て回る。
「こんなふうに解説文があるのが良いですね。京都の宿にも、お客様にじっくりと読んで頂けるようなご案内を作りたいと思います」
「そうだね。本堂リゾートがいくら手を掛けて新しいホテルを建築しても、古くからの歴史あるホテルには敵わない。けど、小笠原家の力を借りればそれが実現する。どうか力を貸して欲しい」
美紅は伊織にしっかりと頷いてみせた。
「そう。西洋文化が日本に伝わる明治の文明開化の時代に、ホテル文化を日本に導入してきたホテルのこと。第二次世界大戦以前に建てられて、その建物を維持し、文化財や産業遺産などの認定を受けている、とかの条件を満たした9つのホテルが日本クラシックホテルの会を発足させたんだ。ここはそのうちの一つ」
「そうなのですね」
カフェレストランでランチを食べながら、美紅は伊織の話に興味深く耳を傾ける。
「ちなみに今君が食べているドリア。それもここが発祥の地なんだよ」
「ええ?!日本でってことですか?西洋の食べ物ではなくて?」
「そう。ここの初代総料理長が、体調が優れないお客様の為に即興で考案した料理なんだ。あとは、ナポリタンやプリン・ア・ラ・モードもここで生まれた」
「本当に?!」
「ああ。GHQに接収されていた時に考案されたメニューらしいよ」
美紅はもう驚きの言葉しか出てこない。
「このホテルには、そんな歴史が詰まっているのですね。なんだかタイムスリップしたような気分…」
両手で頬を押さえてから、美紅は身を乗り出して伊織に尋ねる。
「本堂様。お食事の後、じっくり館内を見て回ってもよろしいでしょうか?」
「もちろん」
伊織は目を輝かせる美紅に、ふっと笑みを洩らした。
レストランを出ると、館内を隅々まで見て回る。
「こんなふうに解説文があるのが良いですね。京都の宿にも、お客様にじっくりと読んで頂けるようなご案内を作りたいと思います」
「そうだね。本堂リゾートがいくら手を掛けて新しいホテルを建築しても、古くからの歴史あるホテルには敵わない。けど、小笠原家の力を借りればそれが実現する。どうか力を貸して欲しい」
美紅は伊織にしっかりと頷いてみせた。