紅色に染まる頃
「さてと。では帰りますか」
車に戻ると、エンジンをかけながら伊織がサラリと言った。
途端に美紅は身を固くする。
(えっと、帰るって…。本堂様のマンションに?)
半信半疑のままじっと窓の外を眺めていると、やはり行き着いた先は伊織のマンションだった。
伊織はトランクから美紅の荷物を取り出すと、さっさと歩き始める。
「空き部屋っていうのは俺の部屋の隣なんだ」
「そ、そうなのですか?」
「うん。最初からその部屋は売りに出さなかった。モデルルームとして展示していたから、家具もそのままあるよ」
そう言って伊織は、美紅を部屋に案内する。
そこは以前訪ねた伊織の部屋と同じ、天井が高いメゾネットの部屋だった。
大きな窓から明るい陽の光が射し込み、綺麗な庭が見渡せる。
「こ、こんなに広くて素敵なお部屋を?本当によろしいのですか?」
「もちろん」
「ですが、あの、あまりに広くて贅沢で…」
「じゃあ、俺の部屋で一緒に住む?」
は?!と美紅は衝撃の余りフリーズする。
「紘さんにも言われたんだよね。『ひと部屋使わせてもらうのは申し訳ないから、君の部屋の隅っこにでも住まわせてやってくれ』って」
「兄さんたら、なんてことを…」
「さすがにそれはって言っておいたよ。それとも君は、ここよりも俺と同じ部屋の方がいい?」
「い、いえ。あの、こちらを使わせて頂ければと…」
「分かった。はい、これが鍵ね。あとこっちはラウンジの鍵。空いていればいつでも使っていいよ。他に足りないものはある?何か手伝おうか?」
「いえ、何も。大丈夫です」
「そう。じゃあごゆっくり」
そう言うと伊織は部屋を出ていった。
車に戻ると、エンジンをかけながら伊織がサラリと言った。
途端に美紅は身を固くする。
(えっと、帰るって…。本堂様のマンションに?)
半信半疑のままじっと窓の外を眺めていると、やはり行き着いた先は伊織のマンションだった。
伊織はトランクから美紅の荷物を取り出すと、さっさと歩き始める。
「空き部屋っていうのは俺の部屋の隣なんだ」
「そ、そうなのですか?」
「うん。最初からその部屋は売りに出さなかった。モデルルームとして展示していたから、家具もそのままあるよ」
そう言って伊織は、美紅を部屋に案内する。
そこは以前訪ねた伊織の部屋と同じ、天井が高いメゾネットの部屋だった。
大きな窓から明るい陽の光が射し込み、綺麗な庭が見渡せる。
「こ、こんなに広くて素敵なお部屋を?本当によろしいのですか?」
「もちろん」
「ですが、あの、あまりに広くて贅沢で…」
「じゃあ、俺の部屋で一緒に住む?」
は?!と美紅は衝撃の余りフリーズする。
「紘さんにも言われたんだよね。『ひと部屋使わせてもらうのは申し訳ないから、君の部屋の隅っこにでも住まわせてやってくれ』って」
「兄さんたら、なんてことを…」
「さすがにそれはって言っておいたよ。それとも君は、ここよりも俺と同じ部屋の方がいい?」
「い、いえ。あの、こちらを使わせて頂ければと…」
「分かった。はい、これが鍵ね。あとこっちはラウンジの鍵。空いていればいつでも使っていいよ。他に足りないものはある?何か手伝おうか?」
「いえ、何も。大丈夫です」
「そう。じゃあごゆっくり」
そう言うと伊織は部屋を出ていった。