夢幻の溺愛
*
大慌てで髪を梳き、クローゼットの中に入っている色とりどりの洋服の中から急いで近くにかけてあったものに着替え、ドアを開ける。
「今日は随分と遅かったな。そんなに意外だったか?招待状…」
壁にもたれかかってわたしを待っていた煌くんが、体を起こして目を覗き込んで言う。
「え…っと、あれ、本当にわたし宛で合ってた?」
端正な煌くんの顔が近づいてきて高鳴る、胸の鼓動を必死に隠しながら、見返すように上目遣いでおずおずとそう言うと、煌くんはぷっと吹き出す。
「さすがに差し出す相手を間違ったりはしない。あと、舞踏会と言っても会場はここだし、出席するのは俺たち三人だけだからな、大規模なものじゃないから緊張はいらない」
「それなら、良かった…。でもわたし、全然踊り方とか知らないよ?」
すると煌くんは悪戯っ子のような微笑みを浮かべながら言った。
「なら、今ここで練習してみるか?」
「っ…え、いやいや!ここで踊るの?!」
確かにここはダンスホールと見紛うほどに豪奢な飾り付けがしてある。
(けど…そういう問題じゃないっ!)
「そうに決まってるだろ。__お姫様、お手を差し出して」
少し気障なふうにウインクしながら煌くんが右手を差し出してくる。
それが、いつか絵本で読んで無邪気に憧れていたお姫様を救う王子様と重なって見えて。
隠しきれない胸のときめきを感じながら、おそるおそる左手を煌くんの手の上に重ねると、エスコートされてゆっくりと優雅なステップを踏み始める。
「わ…っ、なにこれ、体が浮いてるみたい…!素敵…」
「苑は、こういうのが好きなのか?」
煌くんがわたしの腰に手を回してターンした時に思わず声が漏れる。
「っ…うん、まあ…ちょっと楽しかった…」
「じゃあ…これはどうだ?」
「きゃ…!わぁ、うふふっ…!あははははっ!」
そして突然に煌くんがさっきのに加えてお姫様抱っこをしてきて、さっきとは別の完全な浮遊感に驚く声が漏れてしまうが、それを上まわる楽しさが込み上げてくる。
そしてわたしと煌くんのダンスレッスンは怜くんがあまりの遅さにわたしたちを迎えに来るまで続いた。
「今日は随分と遅かったな。そんなに意外だったか?招待状…」
壁にもたれかかってわたしを待っていた煌くんが、体を起こして目を覗き込んで言う。
「え…っと、あれ、本当にわたし宛で合ってた?」
端正な煌くんの顔が近づいてきて高鳴る、胸の鼓動を必死に隠しながら、見返すように上目遣いでおずおずとそう言うと、煌くんはぷっと吹き出す。
「さすがに差し出す相手を間違ったりはしない。あと、舞踏会と言っても会場はここだし、出席するのは俺たち三人だけだからな、大規模なものじゃないから緊張はいらない」
「それなら、良かった…。でもわたし、全然踊り方とか知らないよ?」
すると煌くんは悪戯っ子のような微笑みを浮かべながら言った。
「なら、今ここで練習してみるか?」
「っ…え、いやいや!ここで踊るの?!」
確かにここはダンスホールと見紛うほどに豪奢な飾り付けがしてある。
(けど…そういう問題じゃないっ!)
「そうに決まってるだろ。__お姫様、お手を差し出して」
少し気障なふうにウインクしながら煌くんが右手を差し出してくる。
それが、いつか絵本で読んで無邪気に憧れていたお姫様を救う王子様と重なって見えて。
隠しきれない胸のときめきを感じながら、おそるおそる左手を煌くんの手の上に重ねると、エスコートされてゆっくりと優雅なステップを踏み始める。
「わ…っ、なにこれ、体が浮いてるみたい…!素敵…」
「苑は、こういうのが好きなのか?」
煌くんがわたしの腰に手を回してターンした時に思わず声が漏れる。
「っ…うん、まあ…ちょっと楽しかった…」
「じゃあ…これはどうだ?」
「きゃ…!わぁ、うふふっ…!あははははっ!」
そして突然に煌くんがさっきのに加えてお姫様抱っこをしてきて、さっきとは別の完全な浮遊感に驚く声が漏れてしまうが、それを上まわる楽しさが込み上げてくる。
そしてわたしと煌くんのダンスレッスンは怜くんがあまりの遅さにわたしたちを迎えに来るまで続いた。