恋、花ひらく
「えっと…
ご両親はもう
亡くなられているのよね?」
「はい。…僕が
中学三年生でした。」
「保護者の欄のお名前は?」
「叔母です。
でも最近来て
くれなくなりました。
引き取るのを
嫌がったので
施設に入ってた
んですけど
出てきちゃいました。」
「あらあら。
結構行動派なのね。
じゃあ、今は一人暮らし?」
「はい。」
「そっか。
食事とかは、
どうしてるの?
インスタント
ばかりでしょ?」
菜々花先生は
ぴたりと言い当てた。
そうだ。
僕は自炊が出来ないから
いつもバイトの賄いか
カップラーメン。
貧血で倒れるのも
この辺が
関わっているんだろうか?
「…しょうがないっスよ。
自炊出来ないんだから。」
「料理は慣れよ。
回数を重ねるうちに
段々上手くなって行くの。」
「そうですかね?」
「うん。まずは
初心者の為の料理本とか
買ってみると良いよ。」
「はい。」
「…って、いけない。
話が逸れちゃったわね。
えっと、進路は…」
僕は面談の最中
ずっとドキドキが
収まらなかった。
先生の顔が近くに
あるだけでもうヤバイ。
ドキドキしているうちに
いつの間にか
面談は終わっていた。
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