恋、花ひらく
ふと、伯父さんが言った。
「入院費はお前の口座から
降ろしておくから
心配しなくて良いよ。」
「口座?」
そんなものがあったのか。
「知らないのも無理はないか。
弟…君のお父さんの遺産だよ。
真菜には既に渡してある。
子供の将来のために
こつこつ貯めていたのだろう。」
(父さん…。)
「紀美子(叔母)から
守るために私が持ち出していた。
あいつは金の為なら
何でもするからな。」
そう言って伯父は通帳と
印鑑を渡してくれた。
「良かったね、お兄ちゃん。」
真菜が微笑って言った。
「あぁ。」
僕はそう言うと再び目を閉じた。
何だかものすごく眠い。
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