恋愛教育のススメ〜イケメン副社長はド天然?教育係を任せれましたが地位は要らないので解放して下さい〜
Lesson3…部下は上司の教育を始めました。
「やはり白石さんは優しいですね。好きです」
夜中に何度か汗を拭い何度か着替えさせ何度か女の人の名前を呼んでいた彼。
ーーかのん
呼びながら汗を拭く私の手を引き寄せ何度も頭を撫で続けた。
他の女性の名前呼んでたくせに熱も微熱になるとまたいつもの副社長になってる。
「本当にその体質どうにかなりませんかね」
「ん?」
私の嫌味をものともせずお粥を平らげて薬を飲みまた横になる。
元々女性顔の副社長はまだ身体がダルいのかいつもより増し増しで妖艶さが半端ない。
(一般女性より色っぽいってどうよ…)
結局帰るに帰れず泊まった私は嫌味は口にするけどさすがに病人をそのままにして帰れるほどの神経は持ち合わせて居ない。
「お昼までは居ますから何かあれば呼んで下さい」
「白石さん」
「呼ぶの早すぎですね…」
「振り向くか呼んでみました」
少し寂しい表情に見えた気がして仕方なくベッドに腰掛けた。
弱った時は誰でも寂しくなる。
一人暮らしの私だってそうだ。
「お粥ありがとう。初めて食べました。あのぐちゃぐちゃなのが良い」
お粥をぐちゃぐちゃとかこの人に食レポは無理だと思う。
「初めて?お粥を?」
私の問いに軽く微笑んで「初めてです」と呟くと真っ白な天井を見た。
「両親はほぼ海外在住でしたから。お手伝いさんが一通りは」
兄弟仲は良い。
BARにお兄さんと飲みに来たのも見た事があり仲良さそうだった。
蘇芳百貨店の社長は次男の千歳(ちとせ)社長。
顔は会長譲りでワイルドな感じ。
仕事振りは経営者向きではなく人当たりと巧みな話術で多彩な人脈を売りにしてると聞いた。
副社長が経営を一括して次男の千歳社長が外交。
お互いの得意分野で蘇芳を纏めて居るんだと思う。
長男の千裕(ちひろ)さんは画家で経営には一切加わらずヨーロッパで奥様とのんびり暮らしてる。
「お手伝いさんはお粥作らなかったんですか?」
風邪と言えば桃缶とお粥のイメージでうちの母もよく用意してくれた。
「料理はシェフが。チキンスープを風邪引いた時よく食べましたね」
風邪の時にチキンスープ。
栄養は有りそうだが何となく一般庶民と考えのズレを感じた。
「お粥気に入ってくれて良かったです。まだ熱があるし少し休んで下さい」
立ち上がろとする手を副社長に握られてドキッとする。
「…かのんさん」
ついボソリと口にした言葉を飲み込むと副社長も手を放した。
「かのん…知ってましたっけ?」
「あっ、いや昨日うわ言で」
副社長は目を擦りまだシートを貼ったおでこに手をやった。
「可愛いんですよ…本当に。うるうるした目で見つめてきて。舐めてくる」
うるうるの舐める?!
「もふもふで…大きくて」
もふもふ…大きい…?
(嫌な予感しかしない。)
「副社長それって」
「実家のゴールデンレトリバーでかのんて言うんですよ」
犬か!
やっぱりそう言うオチ。
「私ずっと撫でられたんですけど。犬ね…犬」
「白石さんも肌触り良いですよ?毛並みもほら」
1度は離れた長い腕をまた伸ばして私の髪先に触れ微笑んだ。
「ははっ…そうですか。犬ですか」
パシッと毛先に触れる長い指をパシッと払い除けた。
「食器片付けます!」
寝室を出ようとすると背後からクスクスと笑う副社長の声が聞こえてくる。
くそぉぉぉ!!
この人は!!
「もう寝て下さい!」
捨て台詞のように吐いてドアをバンッと少し激しめに閉めた。
本当に調子を狂わされる。
病気とか家族とか心配したり…
女性かと思ってモヤモヤっとしたり…?
モヤモヤ?
「今は落ち着いて…る?」
あの副社長に振り回されておかしくなった?
それとも私…
いやいや気の迷い…
あんな恋愛感の持ち主を私が好きになるはずない。
とにかく落ち着こう。
最近疲れが溜まってるんだ。
冷静になる為に掃除と洗濯をしながらリビングで頭を冷やす。
「無い。絶対に無い」
リビングのソファに勢いよく座るとテーブルに足が当たり山積みにされた経済誌が雪崩のように床に散らばった。
「何でここだけ片付けないかなー。」
自分が悪いのに愚痴って散らばった経済誌を拾うと別の物が雑誌の下から顔を見せた。
「仕事には行く」と言ってた副社長を止めても聞くわけもない。
私だって微熱程度では休まないワーカーホリックタイプ。
起きた副社長はシャワーを済ませブルーのワイシャツ姿にネクタイを持ちソファに座る私の隣に座った。
「本当にありがとうございました。熱は殆ど平熱なんで何とかなると思います」
「それは良かったです」
仕事でも見せないような満面の笑みを浮かべテーブルの真ん中に3冊のお見合いの釣書を並べた。
「すみません。中を拝見してしまいました」
まずは勝手に見てしまった事を謝り話を続ける。
「教育係の私としましては十分良い条件では無いかと」
「白石さん、凄く堅苦しい話し方に…」
「副社長。選んで下さい!ね?」
有無を言わさず強めに言うと副社長は諦めた表情を浮かべた。
夜中に何度か汗を拭い何度か着替えさせ何度か女の人の名前を呼んでいた彼。
ーーかのん
呼びながら汗を拭く私の手を引き寄せ何度も頭を撫で続けた。
他の女性の名前呼んでたくせに熱も微熱になるとまたいつもの副社長になってる。
「本当にその体質どうにかなりませんかね」
「ん?」
私の嫌味をものともせずお粥を平らげて薬を飲みまた横になる。
元々女性顔の副社長はまだ身体がダルいのかいつもより増し増しで妖艶さが半端ない。
(一般女性より色っぽいってどうよ…)
結局帰るに帰れず泊まった私は嫌味は口にするけどさすがに病人をそのままにして帰れるほどの神経は持ち合わせて居ない。
「お昼までは居ますから何かあれば呼んで下さい」
「白石さん」
「呼ぶの早すぎですね…」
「振り向くか呼んでみました」
少し寂しい表情に見えた気がして仕方なくベッドに腰掛けた。
弱った時は誰でも寂しくなる。
一人暮らしの私だってそうだ。
「お粥ありがとう。初めて食べました。あのぐちゃぐちゃなのが良い」
お粥をぐちゃぐちゃとかこの人に食レポは無理だと思う。
「初めて?お粥を?」
私の問いに軽く微笑んで「初めてです」と呟くと真っ白な天井を見た。
「両親はほぼ海外在住でしたから。お手伝いさんが一通りは」
兄弟仲は良い。
BARにお兄さんと飲みに来たのも見た事があり仲良さそうだった。
蘇芳百貨店の社長は次男の千歳(ちとせ)社長。
顔は会長譲りでワイルドな感じ。
仕事振りは経営者向きではなく人当たりと巧みな話術で多彩な人脈を売りにしてると聞いた。
副社長が経営を一括して次男の千歳社長が外交。
お互いの得意分野で蘇芳を纏めて居るんだと思う。
長男の千裕(ちひろ)さんは画家で経営には一切加わらずヨーロッパで奥様とのんびり暮らしてる。
「お手伝いさんはお粥作らなかったんですか?」
風邪と言えば桃缶とお粥のイメージでうちの母もよく用意してくれた。
「料理はシェフが。チキンスープを風邪引いた時よく食べましたね」
風邪の時にチキンスープ。
栄養は有りそうだが何となく一般庶民と考えのズレを感じた。
「お粥気に入ってくれて良かったです。まだ熱があるし少し休んで下さい」
立ち上がろとする手を副社長に握られてドキッとする。
「…かのんさん」
ついボソリと口にした言葉を飲み込むと副社長も手を放した。
「かのん…知ってましたっけ?」
「あっ、いや昨日うわ言で」
副社長は目を擦りまだシートを貼ったおでこに手をやった。
「可愛いんですよ…本当に。うるうるした目で見つめてきて。舐めてくる」
うるうるの舐める?!
「もふもふで…大きくて」
もふもふ…大きい…?
(嫌な予感しかしない。)
「副社長それって」
「実家のゴールデンレトリバーでかのんて言うんですよ」
犬か!
やっぱりそう言うオチ。
「私ずっと撫でられたんですけど。犬ね…犬」
「白石さんも肌触り良いですよ?毛並みもほら」
1度は離れた長い腕をまた伸ばして私の髪先に触れ微笑んだ。
「ははっ…そうですか。犬ですか」
パシッと毛先に触れる長い指をパシッと払い除けた。
「食器片付けます!」
寝室を出ようとすると背後からクスクスと笑う副社長の声が聞こえてくる。
くそぉぉぉ!!
この人は!!
「もう寝て下さい!」
捨て台詞のように吐いてドアをバンッと少し激しめに閉めた。
本当に調子を狂わされる。
病気とか家族とか心配したり…
女性かと思ってモヤモヤっとしたり…?
モヤモヤ?
「今は落ち着いて…る?」
あの副社長に振り回されておかしくなった?
それとも私…
いやいや気の迷い…
あんな恋愛感の持ち主を私が好きになるはずない。
とにかく落ち着こう。
最近疲れが溜まってるんだ。
冷静になる為に掃除と洗濯をしながらリビングで頭を冷やす。
「無い。絶対に無い」
リビングのソファに勢いよく座るとテーブルに足が当たり山積みにされた経済誌が雪崩のように床に散らばった。
「何でここだけ片付けないかなー。」
自分が悪いのに愚痴って散らばった経済誌を拾うと別の物が雑誌の下から顔を見せた。
「仕事には行く」と言ってた副社長を止めても聞くわけもない。
私だって微熱程度では休まないワーカーホリックタイプ。
起きた副社長はシャワーを済ませブルーのワイシャツ姿にネクタイを持ちソファに座る私の隣に座った。
「本当にありがとうございました。熱は殆ど平熱なんで何とかなると思います」
「それは良かったです」
仕事でも見せないような満面の笑みを浮かべテーブルの真ん中に3冊のお見合いの釣書を並べた。
「すみません。中を拝見してしまいました」
まずは勝手に見てしまった事を謝り話を続ける。
「教育係の私としましては十分良い条件では無いかと」
「白石さん、凄く堅苦しい話し方に…」
「副社長。選んで下さい!ね?」
有無を言わさず強めに言うと副社長は諦めた表情を浮かべた。