なぜか御曹司にロックオンされて、毎日ドキドキと幸せが止まりません!
「――今日、僕はあなたの、……紅月きらりさんの夫となるために参加しました」
神永さんが私の手から唇を離し、ダークブラウンの瞳でまっすぐこちらを見据えていた。
あまりにもその面差しが真剣すぎて、私はその気配に気圧される。
というより今、目の前にいる神永さんの発した言葉が意味不明すぎて、硬直してしまう。
目を見開き、口をぽかんと開けた情けない表情をしている自覚があった。
「突然のことなので、驚くのも無理ないですよね」
ふわりと笑んだ神永さんは、どこからどうみても誠実そうなイケメンで、とても冗談を言うような人には見えなかった。
「でも、本気で紅月さんへプロポーズするために、このフィーリングタイムを待っていたんです」
「プ、プロポーズ……?」
その言葉だけを反芻するだけで、私はやっとだった。
神永さんの含みある瞳が、さらにじっと私を見つめる。
「はい、そうです。申し訳ありませんが色々調べさせていただきました。いま、ご実家の印刷会社の経営が危ういらしいですね」
「え?」
事実を指摘され、私はひゅっと唇を引き結ぶ。
これはドラマとかでもよく見かける、悪い取り引きを持ちかけられる前振りかもしれない。
咄嗟にそう判断した私は、自然と表情をこわばらせる。
「そんなに構えないでください」
心のうちを見透かしたように神永さんは、掴んでいた私の手にぎゅっと力を込める。
たしかに私は今日、実家への融資先を見つけてこいと言われて参加をした。
しかし、本気で融資先が見つかるだろうとは思ってもみなかった。
いや、お見合いパーティーで出逢った人に、家のことを切り出す勇気なんてなかった。
だからこそ、事前に家のことを知るどころか調べられているのは、かえって好都合なのかもしれないけれど、だけど……。
「僕はあなたと結婚がしたくて、でも偶然あなたの家の事業が思わしくないことを知ったので、ギブアンドテイクの関係になるだけです」
さらりとそう告げた神永さんは、そう言うと手を放し、考え込むように腕を組んだ。
「うーん、なんか違うなあ。最終的には僕のことを好きになってもらう予定なので、ギブアンドテイクじゃなくてフォーリンラブになってもらうのが予定です」
今どきのノーブルな雰囲気とは裏腹に、神永さんはふざけたような計画を口走る。
神永さんが私の手から唇を離し、ダークブラウンの瞳でまっすぐこちらを見据えていた。
あまりにもその面差しが真剣すぎて、私はその気配に気圧される。
というより今、目の前にいる神永さんの発した言葉が意味不明すぎて、硬直してしまう。
目を見開き、口をぽかんと開けた情けない表情をしている自覚があった。
「突然のことなので、驚くのも無理ないですよね」
ふわりと笑んだ神永さんは、どこからどうみても誠実そうなイケメンで、とても冗談を言うような人には見えなかった。
「でも、本気で紅月さんへプロポーズするために、このフィーリングタイムを待っていたんです」
「プ、プロポーズ……?」
その言葉だけを反芻するだけで、私はやっとだった。
神永さんの含みある瞳が、さらにじっと私を見つめる。
「はい、そうです。申し訳ありませんが色々調べさせていただきました。いま、ご実家の印刷会社の経営が危ういらしいですね」
「え?」
事実を指摘され、私はひゅっと唇を引き結ぶ。
これはドラマとかでもよく見かける、悪い取り引きを持ちかけられる前振りかもしれない。
咄嗟にそう判断した私は、自然と表情をこわばらせる。
「そんなに構えないでください」
心のうちを見透かしたように神永さんは、掴んでいた私の手にぎゅっと力を込める。
たしかに私は今日、実家への融資先を見つけてこいと言われて参加をした。
しかし、本気で融資先が見つかるだろうとは思ってもみなかった。
いや、お見合いパーティーで出逢った人に、家のことを切り出す勇気なんてなかった。
だからこそ、事前に家のことを知るどころか調べられているのは、かえって好都合なのかもしれないけれど、だけど……。
「僕はあなたと結婚がしたくて、でも偶然あなたの家の事業が思わしくないことを知ったので、ギブアンドテイクの関係になるだけです」
さらりとそう告げた神永さんは、そう言うと手を放し、考え込むように腕を組んだ。
「うーん、なんか違うなあ。最終的には僕のことを好きになってもらう予定なので、ギブアンドテイクじゃなくてフォーリンラブになってもらうのが予定です」
今どきのノーブルな雰囲気とは裏腹に、神永さんはふざけたような計画を口走る。