なぜか御曹司にロックオンされて、毎日ドキドキと幸せが止まりません!
「でもまたこの前のように、寝癖がついたまま会社へ向かわせるわけにはいかないので……」
私の言葉に、神永さんは大きく肩を落とす。
まるで自分が悲しい思いをしたかのようだ。
反射的に罪悪感を抱いた私は、咄嗟にその感情を打ち消すように反論の言葉が口をついて出てしまう。
「い、いえ、あの日は偶然寝坊してしまっただけで、普段は寝癖などつかないように身だしなみを気をつけていますから……」
けれど言ったあとで、神永さんから指摘された「寝癖」がついていた例の朝のことを思い出して、人知れず赤面してしまう。
ふと、神永さんが私の髪の毛に触れた。
それから上辺だけを軽く摘むようにほんの少しだけ掬うと、独り言のようにつぶやく。
「寝癖、つけるくらいまでゆっくり眠ってていいのに。妻が毎日笑顔でいられるためだったら、なんだってしてあげたいのが夫の甲斐性というものだと思うのですが」
意味深に神永さんは口の端を上げると、そこからさらにお互いの唇が触れる距離にまで顔を寄せてきた。
それはまるで――。
「キス、」
なども、と言葉を続けた神永さんの言葉に、まさに私と神永さんだけしか知らない、二日目の朝のハプニングが私の脳内で再生されていく。
「……っ」
無意識に私は、唇へ手を当てていた。
するとふいに神永さんのまとう空気が剣呑なものに変わる。
「この前、僕にキスされたの……嫌でした? 僕は、きらりさんと――好きな人とキスできて、とても嬉しかったですけれど」
剣呑な表情が緩んで、いつものにこやかな神永さんモードへ戻る。
あああ。
なんだろう。
朝から感情が忙しい。
というか、神永さんが本気で私のことを好きになる理由が分からないから、「好きな人とキスできて」なんて歯が浮くような言葉を告げられて、余計落ち着かなくなっているだけなのかもしれない。
私の言葉に、神永さんは大きく肩を落とす。
まるで自分が悲しい思いをしたかのようだ。
反射的に罪悪感を抱いた私は、咄嗟にその感情を打ち消すように反論の言葉が口をついて出てしまう。
「い、いえ、あの日は偶然寝坊してしまっただけで、普段は寝癖などつかないように身だしなみを気をつけていますから……」
けれど言ったあとで、神永さんから指摘された「寝癖」がついていた例の朝のことを思い出して、人知れず赤面してしまう。
ふと、神永さんが私の髪の毛に触れた。
それから上辺だけを軽く摘むようにほんの少しだけ掬うと、独り言のようにつぶやく。
「寝癖、つけるくらいまでゆっくり眠ってていいのに。妻が毎日笑顔でいられるためだったら、なんだってしてあげたいのが夫の甲斐性というものだと思うのですが」
意味深に神永さんは口の端を上げると、そこからさらにお互いの唇が触れる距離にまで顔を寄せてきた。
それはまるで――。
「キス、」
なども、と言葉を続けた神永さんの言葉に、まさに私と神永さんだけしか知らない、二日目の朝のハプニングが私の脳内で再生されていく。
「……っ」
無意識に私は、唇へ手を当てていた。
するとふいに神永さんのまとう空気が剣呑なものに変わる。
「この前、僕にキスされたの……嫌でした? 僕は、きらりさんと――好きな人とキスできて、とても嬉しかったですけれど」
剣呑な表情が緩んで、いつものにこやかな神永さんモードへ戻る。
あああ。
なんだろう。
朝から感情が忙しい。
というか、神永さんが本気で私のことを好きになる理由が分からないから、「好きな人とキスできて」なんて歯が浮くような言葉を告げられて、余計落ち着かなくなっているだけなのかもしれない。