甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
そしてなんとか彼を説得したみたいで、一条くんと犬丸のふたりだけが残った。
「一条くん、寄るところって───わ…っ」
「もう暗くなってきたから転ぶなよ、犬丸」
転ばないよ。
だって一条くんが手、つないでくれてるから。
こんなに大きいんだ…、
一条くんの手って。
意外にも彼の手を触ったことは少なかった私は、ドクンと新しい緊張が鳴った。
「只今空いているお部屋となりますと、ダブルベッドのお部屋が1部屋になります」
「あ、そこでいいです。この素泊まりプラン、1泊で」
「かしこまりました。チェックアウトは10時となりますので、時間厳守をよろしくお願いいたします」
「わかりました」
え……???
ええ……??………え???
なんかめちゃくちゃオシャレなコテージエリアに来ちゃってるよ犬丸…。
確かにバーベキュー広場の隣の敷地内にあったのは昼間も見たけど……。