甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「星とか見れそうだね!」


「あとで一緒に見よ」



じゃ、ない。

星とか見れそうだね、あとで一緒に見よ。


じゃ、ないんだよオタクと総長さん。



「いっ、いぬまる帰らなくちゃ…!!」



一条くん、一条くん。

ドアの前に立たれたら犬丸は帰れないぜ。



「ふたりで1泊、すでに金は払った」


「………う、うい」


「お菓子も買った」


「……うい」


「んで、そこの天窓から一緒に星見る約束した」


「………ひぃぃぃぃ…っ」



犬丸、逃げる。

しかし逃げたとしてもたかが知れていることなので、さっそく一条くんに捕獲される。



「あばれんな、落ち着けいぬまる」


「ひぃっ、ひぃっ」


「ほら深呼吸。大丈夫だって」



だってだって…!

ここで1泊って、一条くんとお泊まりするってことだよね…?


ふたりだけってこと、だよね……!?


もしかして沙蘭くんがずっと心配してたことって………こちらで?



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