甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「ぎゃあぁぁぁああつめっってえ……!!!」


「はははっ!わりい水シャワーだから俺」



お部屋から聞こえた声に、笑顔を思い浮かべる。


それから同じようにバスローブを着用して部屋に戻ったとき。

一条くんの姿が消えていた。



「あれっ、一条くん…?どこ……?」


「いぬまるー、星むりかも」


「わっ!ロフト…!」



天窓を見上げながら一条くんは「雨降ってる」と。



「小雨だけど、たぶん星見えねーわ」



雨……。

昼間はあんなに晴れていたというのに、天気ってわからない。

見たかったなあ……。



「…犬丸、」


「……?」



じーっと見下ろしてきては、ロフトの梯子から降りてくる。


ここで、パチンっ。

犬丸の夢は覚めたようだ。



「あああああっ、いつの間にバスローブ着ちゃってる……!!」


「な、お揃い」


「お揃い!やったやったっ!………ちがう!!!とんでもないことになってる…!!」



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