甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「俺とルキくん、どっちがいい?」
き、禁断の質問……ッッ。
まさか一条くんがそんなこと言ってくるなんて…。
でも犬丸はルキくんのためにも一条くんのためにも嘘はつきたくない…。
「るき、っ、いや、一条くんもやさしっ、……いやしかしっ、うぐっ…、ぐぐっ」
「…本気で迷ってんじゃねえよ。ふつーにへこむ」
「も、申し訳…なく…」
肩がひゅんっと固まる。
けれど犬丸が思っているよりも、一条くんはこの時間を楽しんでいるみたいなのだ。
「……ふっ、いーよ。俺はそんな犬丸を好きになったんだから」
どこに接点があったんだろう…。
1年生の頃から同じクラスだけど、関わるようになったのは本当に最近のこと。
それまでは世界線が違うひとで、同じものを見ることさえないと思っていた。