甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「ただそーいうとこに集まる奴らってのは、…せめてそういうものにすがるしかない連中ばっかなんだと思う」



確かにみんな、家族の話はあまりしない人たちだなって思った。

家族よりも仲間とか友達のことを優先させていて、それで十分だと笑っているような集団。


……なんだろう。

それってちょっとだけ寂しいな。



「わっ…!ぎゃっ、あははっ!いちっ、じょうくっ、なにするの一条くん……!ひゃーーっ、あはは…っ!」



とか考えていたら、くすぐられる犬丸。


ワケわからん!!!

次から次に一条くんは犬丸を驚かせてきてっ!!


でも。

犬丸が寂しい顔をしてたから…?
だから雰囲気を和らげようとしてくれた…?



「逃げんな犬丸。諦めて俺にくすぐられろって」


「一条くん犬丸をなんだと思って…!」



いつの間にか身体を起こして、それでも犬丸を追いかけてくる魔の手。

その直後、ぐらっとバランスを崩しまして。



「うひゃあ…っ!」


「いぬまる…!」



ベッドから落ちる犬丸の背中、固い床につく前に何かが挟まった。



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