甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
ふわっと香るシャンプー。
それまで犬丸を追い詰めていた人が、今度は犬丸を助けてくれちゃってる。
「………いってえ…」
「すっ、すすすすみません…!」
「…犬丸、どこかぶった?」
「ぶってないよ…!犬丸げんきっ」
「…ふっ、ははっ。はしゃいでベッドから落ちるとか、小学生かよ俺ら」
落ちる……、小学生……?
この体勢……。
なんか犬丸、これ、初めてじゃない。
こうやって誰かが下敷きになって守ってくれたの。
「────………あ」
「…どーした?」
「…ふーせん……、風船!!!男の子っ、犬丸ペキッてっ、それでドンッてなってドサッて、そしたらふわって……!!」
こんな擬音だらけの説明、あたま悪いのか犬丸は。
説明っていうのはね、5w1hの法則が大切なんだよ。
一条くんじゃなかったらそんな顔、ぜったいしてないよ。