甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「いいよ?さすがに3本は買いすぎたなって思ってたし、その高級牛乳もいらないや」
「ええっ!まじですか…!!ありがとうございます!!……あらっ??」
受け取ろうとすると、ひょいっと空へ。
なので自分から手を伸ばすともっと空へ。
………あれ?おかしいぞ。
犬丸は牛乳にめちゃくちゃ嫌われている。
「さすがにタダでってわけにはね。譲ってあげる代わり……きみの名前を教えてくれる?」
あっら、そんな容易いことで良かったのか。
360円→名前を言うだけ、だなんてお得すぎる。
「犬丸です!!」
「…下の名前は?」
「亜古です!!亜鉛が古いで、亜古って書きますっ!!」
「そっかそっか。…きみがあのイヌマルかあ」
アッッッ。
犬丸、とんだ大失態をしてしまったかもしれないと、ここで気づく。