甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
やっと言えた。
ほんとはもっと前に言いたかったけど、避けられていた犬丸は言えなかったのだ。
「最終的に黒に落ち着いたよ、黒に」
「犬丸それがいちばん好きだよ!」
「あー、いちばん好きとか簡単に言わないで。近くからすごい殺気を感じるから」
そう言いつつも嬉しそうだ。
今まで飽きるとすぐに変えていた彼の髪色の終着点は、なんとブラック。
「わんこちゃん、一緒にケーキ食べるよ。僕特性ミルクティーも作ってあげる。…手ぇ洗っておいで」
「っ!!隅々までっ!この犬丸っ、人生でいちばん手を洗ってきます…!!」
「沙蘭、俺のぶんも」
「千明は水ね」
「なんでだよ」
「僕のために牛乳を買うとはいえ、リード外してひとりで外に出させた罰。車に轢かれたらどーすんの、誤食だけじゃなく変な奴に何か食べさせられたら?」
いろんな意味で犬丸を離してくれないのって、もしかすると沙蘭くんもなのかも───。