甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「うるさいぞ女子たち!彼が自己紹介できないだろう!…ゴホン、改めて転校生の村雨(むらさめ)くんだ」
「村雨 類(むらさめ るい)です。…どうぞよろしく」
ところ変わってある日、黄色い歓声を上げるおなごたち。
またこのクラスにアイドルが追加されてしまったわけですが、犬丸はそれどころじゃなく。
こ、こ、こ、こ、この人は……!!!
「それで村雨くんの席は───、ん?村雨くん…?どうかしたか…?」
転校生、黒板の前から移動する。
先生の問いかけを気にすることなくスタスタと、立ち止まった場所は犬丸の───前の席に座った一条くんのところ。
「……………」
「……………」
ど、どういうこと…?
お互い見つめあっているだけで一言も発しない。
もしかして一条くんのお知り合いで……?
お知り合い、ってことは………やっぱり彼もそっち界隈の人間で…?