甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「…お前とずっと話してみたかった」


「………ワタ…クシ、ト…?」


「ははっ、おまえのそーいうとこ好きだよ俺」



なんかね、そんなこと言われたりね。

気づいたらくしゃみをしてしまった私をね、こう……後ろからぎゅってね、してくれたりね。


犬丸のあたまのなかは爆発寸前で、ほんっとーに死ぬかと思った。



「わるい犬丸。これ最初から俺が仕組んだことなんだ」



なっっんでやねーーーーん。


そのあと呆気なく開いたドアだとか、一条くんと関わりがありそうな隣クラスの子(のちの沙蘭くんである)が笑いながら入ってきたりだとか。

なんと一条くんの策に嵌められていたのは犬丸だったんですねえグヘヘ。


なんてことがあったのが、犬丸こと犬丸 亜古(いぬまる あこ)、高校2年生の5月末のことでした。



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