甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「マル子はいつから一条と仲いーの?」


「…………ちょ、ちょいと前…」


「へえ。そうなんだ」



気づけば屋上丸。連れられた丸。

すごく喉が乾いていた犬丸のそばには、村雨くんが買ってくれたリンゴジュースの入った紙パック。


それは校内の自販機にて、お財布を忘れたことに気づいてクゥンクゥン鳴いていた犬丸を助けてくれたのが村雨くんだったのだ。



「じゃあつぎ、俺の話していい?」


「遠慮したいですっ!ジュースありがとうございました…!それでは失礼しま───」


「俺さ、じつは幼い頃はカラダ弱かったんだよね」


「………えっ」



ばっか犬丸。

ちょこっとだけ興味が湧いたからって、そんな反応を見せると相手は付け込んでくること。


沙蘭くんから教えられている基本中の基本だよ。


ただ犬丸が持った興味は単純に。

ルキくんもそうだったなあ……って、そこ。



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