甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「おかしいと思ったよ。わんこに付けてたGPSの回線、急に切れたからサ」
「……ははっ、やっぱりさすがだ」
ここは店内、公共の場だ。
高校生がするには危なすぎる会話だし、難しすぎる会話だし、とりあえず犬丸だけでも逃げていい……?
「東か西か北か、どこだって聞いてんの」
「俺たちのルールは他言厳禁。…言ったらそれは、破門になるんだよね」
「っ…!行くよわんこ!!」
「わっ!えっ、沙蘭くん…!?」
怖かった。
普段は殺気を出す総長さんを宥める側で、自分は滅多に出さない沙蘭くんの殺気とか。
それ以上に、ニヤリと笑った村雨くんの顔。
この人には近づかないほうがいいかもしれないと思わせてきた。
「こっのバカ犬!!!」
「ひっ!……ええっ……」
腕を引かれてかなり移動した頃。
沙蘭くんは犬丸を大きく叱った。