甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「わんこが“ありえない”って思ってることぜんぶ、“ありえちゃう”場所が游黒街なんだ」
「で、でも……そこまでは行ってないよ…?確かに近かったかも、だけど」
「そこにあいつと居たことが大問題なんだよ!!!」
「ひっ、ひぃぃ…っ」
「……とりあえず。これ食べて」
渡された飴、ひとつ。
カラコロと口直しだけじゃなく気分直し、そして言いすぎたと沙蘭くんの謝罪も含まれていた。
すると犬丸の教育係さんはこめかみに冷や汗を垂らしながら、つぶやく。
「あいつは間違いなく……0─ゼロ─の人間だ」
聞き覚えがある。
やっぱり気になってたこととか、疑問に残ってたことは覚えてるよ。
最初、この街のグループを紹介してくれたとき。
唯一そのグループについてだけの説明が名前しかなかった。
それは止めたんだ、一条くんが。
あえて、だったのだと。