甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「わんこが“ありえない”って思ってることぜんぶ、“ありえちゃう”場所が游黒街なんだ」


「で、でも……そこまでは行ってないよ…?確かに近かったかも、だけど」


「そこにあいつと居たことが大問題なんだよ!!!」


「ひっ、ひぃぃ…っ」


「……とりあえず。これ食べて」



渡された飴、ひとつ。

カラコロと口直しだけじゃなく気分直し、そして言いすぎたと沙蘭くんの謝罪も含まれていた。


すると犬丸の教育係さんはこめかみに冷や汗を垂らしながら、つぶやく。



「あいつは間違いなく……0─ゼロ─の人間だ」



聞き覚えがある。

やっぱり気になってたこととか、疑問に残ってたことは覚えてるよ。


最初、この街のグループを紹介してくれたとき。

唯一そのグループについてだけの説明が名前しかなかった。


それは止めたんだ、一条くんが。


あえて、だったのだと。



< 140 / 223 >

この作品をシェア

pagetop