甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「…お前のこと、忘れたことなんかなかった」
「それはそれは光栄で。俺はすっかり忘れてたよ。でも……さすがに暁に入って、しかも総長になったって聞いたときは殺してやろうかと思ったけどね」
それは村雨にとっては当て付けに見えたに違いない。
あんなにも暁に入りたがっていたこいつなのだから。
俺がもう少し早く暁に入って上に立っていたら、もしかしたら俺たちの今のメンバーにお前もいたかもしれないのにな。
当て付けだと言われようと、俺にとってお前はそれくらい大切な親友だったんだよ。
「あんなに興味ないって言ってたくせに。笑えるよ、ほんと」
「…入らなきゃなんねー理由ができたってだけ」
「へえ?でも俺だって、元親友を痛めつけることに抵抗はあるんだ。だから優しさ発揮して、正面から潰しにかかるのはやめてあげる」
暁はわりと厄介だから、俺たちも警戒してるしね───、