甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「その代わり、マル子を俺たち─0─のペットにさせてもらうことにしたから」


「────…」


「それでお前を結果的に潰せるってことも分かったし」



いま、この瞬間。

俺は暁で、お前は0でしかなくなった。


元親友とか、こいつは游黒街とも関わりを持っている人間だとか、そんなものどうだっていい。


お前(0)が俺(暁)に「情なんか捨てて全勢力を使っていい」と許可したようなものだ。



「ヴァローレ額、あれネタだろ?マル子も悲惨だねえ。俺たちだったらもっと価値ある金にしてあげられるのに」


「…金?」


「っ、ははっ」



別に胸ぐらだったりも掴んでいない。

物理的に攻撃を加えたわけでもない。


ただ俺から放出された何かに身の危険を察知した村雨は、唇を引きつらせながらも平常を保とうとし、笑った。




「犬丸の価値を金なんかに代えられるとか、勘違いすんなよ村雨。そう簡単に俺から奪えるとも思うな、────殺すぞ」




わりい沙蘭。
あと猿、それと猫も。

今のセリフ、ちょっと間違ってたよな。


俺たち、だったわ。



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