甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
地面に落ちてゆく村雨くんの視線。
“僕”と“俺”が混ざった問いかけは、彼の本当を表していると思った。
「うん。そうだよ」
「っ、」
「病気がある村雨くんが、きっと村雨くんなんだよ」
それでいいんだよ。
そのままで、いいんだよ。
弱くたっていいじゃん。
笑われたって、いいじゃん。
それ以上自分を好きでいてあげられたなら、自分はきっと喜ぶ。
「…ねえ、マル子」
はい、マル子です。
最近になって気に入ってきたあだ名。
一条くんも“可愛すぎるあだ名”って言ってたっけ…。
「…なんでさっき、俺のこと“友達”って言ったの」
「……えっ、ちがうの…!?」
「え、」
「友達じゃなかったの……?うっそお、お弁当一緒に囲んだらそれはもう友達だと思ってたあ…」
「…………」
犬丸だけ?
犬丸の勘違い…?
たとえ村雨くんが0ってところに所属していたとしても、犬丸から見ればもうお友達みたいなものだ。