甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




地面に落ちてゆく村雨くんの視線。

“僕”と“俺”が混ざった問いかけは、彼の本当を表していると思った。



「うん。そうだよ」


「っ、」


「病気がある村雨くんが、きっと村雨くんなんだよ」



それでいいんだよ。

そのままで、いいんだよ。


弱くたっていいじゃん。
笑われたって、いいじゃん。


それ以上自分を好きでいてあげられたなら、自分はきっと喜ぶ。



「…ねえ、マル子」



はい、マル子です。


最近になって気に入ってきたあだ名。

一条くんも“可愛すぎるあだ名”って言ってたっけ…。



「…なんでさっき、俺のこと“友達”って言ったの」


「……えっ、ちがうの…!?」


「え、」


「友達じゃなかったの……?うっそお、お弁当一緒に囲んだらそれはもう友達だと思ってたあ…」


「…………」



犬丸だけ?

犬丸の勘違い…?


たとえ村雨くんが0ってところに所属していたとしても、犬丸から見ればもうお友達みたいなものだ。



< 185 / 223 >

この作品をシェア

pagetop