甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




一条くんの親友だったならそれこそ、犬丸にとっても他人じゃないよ。

つながりって、たぶんそーいうもの。



「あっ、そろそろおばあちゃんのところ戻ってあげなきゃじゃない?じゃあまた学校で!」



────そうだ。

これだけは伝えなきゃいけないこと、あった。



「それと、村雨くんはひとりじゃないよ」


「…!」



おばあちゃんがいなくなったらひとりぼっち、って言ってたけど。

たぶん村雨くんをひとりにはさせない人間を私は知ってる。


近いうち、この犬丸だってそのひとりになるような気がするんだ。



「ではまたっ」


「まってマル子…!それ炭酸!」



ありがとう村雨くん。

村雨くんの忠告、お父さんがいる病室に戻ってから身を持って体感しました。


プシュッ───!!



「うわあ…!ジュース飛び出したっ」


「も~!なにやってるのよ亜古~」


「はははっ、病院は走ったらいけない……、イテテテ、笑うと響く……」



今日、このリュックを背負ってきて良かった。

ルキくんが、ルイくんに、なにか力を与えることができたんだと思うから。



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