甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「…村雨くん、犬丸をナメないほうがいいよ」
「…どーいうこと?」
「村雨くんが嵌めたって可能性も、犬丸疑ってるよ」
そうやって自分も捕まったふりをして。
結局はそれは作戦でフェイクで、実際は拉致した側の人間。
うまい話を作って暁を呼び出すための策なのかもしれない。
いいや、その可能性が高いと思ったほうがいい。
「……はあ」
なんのため息だ。
ため息をつきたいのは犬丸だ。
こんなことやったってお見通しだぜって、ふっと笑ってハードボイルドに葉巻でも吸っちゃって。
やれやれだぜ、とか言っちゃったりしてね。
「これだけは信じて。俺にはそんな権力ないから」
「…え?」
「だからこれはたぶん俺のせいではあるんだろうけど、勘違いされてんだと思う」
「勘違い…?」