甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
そのグループに所属していたのは本当だと。
でもそれは去年までの話で、だからここには誰も来ないのだと。
自分を助けに来てくれる仲間なんか、ひとりも居ないのだと。
「俺じゃ…駄目だったんだ…、おれは……、僕は一条みたいに誰かに必要とされなければ、あいつみたいに強くもないから…っ」
「……むらさめ、くん」
泣かないで。
泣かないでだいじょーぶだよ。
泣かないでいいんだよ、村雨くん。
「おれ…、なくしちゃったんだよ、」
「…なにを…?」
「ずっと大切にしてた宝物っ、なくしたんだ……っ」
ずっと大切にしていた宝物。
そう言われて、あれじゃないかと過ったものがあった。
「せめてそこにしかすがれなかった宝物すら……なくして…、そのくせいつまでも馬鹿みたいに意地ばっか張ってさ…っ」
そうなんじゃないかなって思ってた。
いつも私は、村雨くんを見るたびにそうだと思ってた。