甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「村雨くん、ゲームしよう」


「…ゲーム…?」



簡単な賭け事だ。

犬丸は助けが来るほうに賭ける。


見るからに村雨くんは諦めてるから、誰も助けが来ないほうに賭けるってことで。



「犬丸がこの賭けに負けたら……、犬丸は村雨くんの犬になる」


「…マル子が勝ったら?」


「もし犬丸が勝ったら、村雨くんは助けに来た人間たちの仲間に入ること」


「っ…!」



親友ってそう簡単に切れるわけないから。

村雨くんがいま、彼を思って後悔に涙を流しているとするなら。


少し前に同じ涙を流していた人を私は知ってる。



「…俺、あいつを潰すとか言ったんだよ」


「うん。言ってたね」


「…来るわけないだろ。あいつにひどいことばっかしてきたのは……俺なんだから」


「来るよ。犬丸センサー、すごいぞ」



犬丸が泣いてたらすぐに殺気を放つような人だ。

犬丸だけに甘い声も優しい顔も見せてくれるひと。


それに、キャラが濃くて心強い仲間いっぱいだ。


教育係の糖尿病予備軍さんに実は男前なオネェさん、猫っぽいのにベジタリアンで草食な後輩くん。

まだまだたくさんいるよ、歓迎してくれるみんなは。



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