甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「……殺してやる」



と、つぶやいた沙蘭くん。

指をコキコキ鳴らして、とりあえずそばにいた男をまさかのわし掴む。



「うぐ…っ!わ、悪かったって…、ギャァァアア!!」



さ、沙蘭くん……ガチギレだ…。


こんな二面性がある人だったとは。

たぶんもう犬丸の声、なんにも聞こえてないと思われます。



「くそっ、テメェら女ァ拐え!!こうなったらあいつを人質に取るぞ…!!」



えっ、えええ…!!

どうしよう犬丸のほうに近づいてくるよぉぉ恐ろしいぃぃぃ!!!



「ひええヘルプミィィィィ!!!犬丸を拐っても結局は2円なんでえ…っ、なんの価値もないんでえ……っ」


「うるさいよ犬丸」


「はいっ!わっ、猫葉く───うぎゃあ!」



背後に立たれた思えば、なぜか犬丸の襟元がぐわっと引っ張られる。

そのままポーンと、投げられまして。



「いやだ運び方が雑ぅぅぅ…っ!!」



なんで投げられてるの犬丸……!

犬丸そんなに猫葉くんに何かした…!?


そして暴君と化していた一条くんの腕のなか、ポスン。



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