甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「もっと優しく扱えよ、猫」
「それくらいで折れる子じゃないだろーし。俺たちの2円(お姫さま)は」
「…おい、本音と建前が逆だろ。だとしても犬丸泣いてるから一言くらい謝っとけ」
「ああ、ごめん」
と、あまり意味のない「ごめん」が聞こえましたが。
猫葉くんから繰り出される鈍すぎる音が彼なりの優しさだと犬丸も見た。
あのときもそうだったな…。
路地裏で助けてくれたとき。
結局は私の命を救ってくれて、私を逃がしてくれた猫葉くん。
「クソッ、強すぎんだよこいつら…!!」
「少しは手加減しろよ……ッ」
いらないよ手加減なんか。
ここまで私たちの大切な仲間を泣かせてくれたんだ。
手加減なんかしなくていいよ、一条くん。
「犬丸、手加減いる?」
「いらないす」
「りょーかい」
ううん、ううん、と。
即答で首を横に振ってやりました。
「────俺の大切な親友と溺愛する彼女に手ぇ出すって、こーいうことだから」
近いうち。
村雨くんを前にして犬丸は言ってあげるんだ。
ようこそ、(キラキラアイドル)暁へ───って。