甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「カラダ、…治ってないのか」


「…たとえ治ってたとしても、俺は昔から臆病なんだ。おまえに言われたとおり…俺には向いてなかったよ」



変わってない。
変わってないんだよ、なにも。

僕は変われなかった───、



「…村雨、」



そんな一条くんは反対に、どこかホッとしているみたいだった。



「犬丸を守ってくれてありがとな」


「…守れてなんかない。一条が来なかったら……ヤバかった」



いやもう…、
ここは素直に認めてよくない…?

村雨くん、ちょっと自分に厳しすぎると思う。


犬丸は無事だし、村雨くんが庇ってくれて嬉しかった。



「今の暁には、お前を笑う奴なんかひとりもいない。今の暁には……お前の居場所はちゃんとある」


「……いま…の…?」


「ああ。それが───…俺が立て直したかった暁なんだよ」



< 209 / 223 >

この作品をシェア

pagetop