甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




何かに気づいた村雨くんの表情。

彼が暁を選んだ理由はそういうことだったのかと、確実に理解したようだった。



「んで、この子が俺たちの心臓」


「わっ、ひえっ!あっ、びっくりした……」



急に近づいてきたと思ったら、ぐいっと肩を引かれた。

私の反応が見守っていたみんなを吹き出させて、最終的に村雨くんのことも笑顔にする。



「2円とかふざけたこと言われてるけど、」


「そんなことない。どのグループより高価な価値を持ってるよ…、俺たちのマル子─心臓─は」


「…ふっ、そーいうこと」



犬丸に後輩ができました。

名前は村雨 類くんといって、同じクラスで同じ歳ですが、一応は後輩です。



「マル子、後輩ってよりは彼氏候補のほうが正しいんじゃないかな」


「……えっ」


「もしかして忘れてる?保留って言われてるからね、俺」


「……あっ!!!」



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