甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「……おかわり」
「ぶは…!くくっ、おかわりはやべーわ、」
なに言ってるんだ犬丸。
一条くんもつい吹き出したぞ。
ぶはって、ぶはって。
でもね、そのね、
すき、だいすき、もっとちょうだい。
って、溢れて溢れてどうしよう。
「…いま自分がどんだけエロい顔してるか、わかってんの犬丸」
「へ…?んん…っ!ぁ、っ…」
抱え込んでくれる腕とか、呼吸を合わせながらも与えられる甘さとか。
四方八方ぜんぶ守られている安心感も、一条くんの初めて見る余裕のなさそうな顔も。
ぜんぶぜんぶ、犬丸のもの。
ふーせんみたいに飛んでいけそう。
風船、ふうせん、昔のことをまた思い出す。
「園原、このまま俺の家に直行」
「かしこまりました」
「……えっ?えっ、ハッ!!いぬっ、犬丸なにしてた…!?あれっ!?」
割れた風船。
そしてなぜか車は犬丸家から反対方向へと、進路変更。
気づけば一条くんの首に腕を巻き付けているという奇行に走っていたようで、すぐ離そうとするも逆に追い詰めてくる。