甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「いいバイトって……、もしかして…こちらです…?」
「そう。犬丸にしかできない最高なバイトだよな」
「……………」
仕事内容:一条くんに愛でられること。
ってことは一条くんが犬丸にお給料を渡すの??ってことになるわけで。
「そんなお金のやり取りはしたくない」と私が言うことなど、とっくに彼は把握済み。
「物で釣っちゃってサ。それって嬉しいの?」
「……うるせえっつーの」
ちょくちょく沙蘭くんが口を挟むたびに、どこか図星を突かれたような顔をする一条くん。
(…それにしても……)
ちらっ、またチラッ。
犬丸は自分の貪欲さが嫌になる。
目の前のテーブルに並べられた数々のグッズたち。
そう、言わずもがなルキくんで溢れていた。
「ふぁぁぁ…っ!これっ、発売してから10分で予約いっぱいになった3周年記念ポスター…!!それにこれっ、どこの一番くじでも手に入らなかったレアフィギュア……!」