甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「もしかして!千明ちゃんがゾッコンな女の子ってこの子かしら…!?」
「そうそう。なかなかいじめたくなるでしょ」
「なるわ~!チョンチョンってしたいもの!」
ルキくん。
目の前に限定ルキくんばかりがいるから来たの犬丸は。
チョンチョンされるために来たんじゃない……。
「触っていい?ねえ、チョンチョンいい!?」
「総長さんにボコられる覚悟あるならどーぞ」
「………ねえわ。やめるか」
「…いきなり素出してくるの、ほんと戸惑うからやめてよ」
「やだアタシったら!!メっ」
賑やかな人たちだ。
沙蘭くんも学校では女子生徒に絶大な人気を誇ってるけど、やっぱり謎だから誰も近づけなくて。
この猿さんって方は見慣れない制服姿だから、他校の生徒さんなんだろう。
とん、とん、とん。
一条くんが優しく叩いてくれる一定のリズムがなかったら、今ごろ犬丸は気を失っていた。