甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「東地区のRain shadowはわりとまだ新しいとこ。なんていうか……とある危険なフィールド上にて天下を取った奴らの溜まり場?みたいな感じ」
危険なフィールド、天下、溜まり場。
それはぜったい組み合わせてはならない単語だ。
………ひえっ。
「西地区のGlänz.Aはねー、もうほんとあそこは厳しい。強い者だけが揃えられて、強くなければ価値ナシって見る、ほんと冷酷非道な狂ってる奴ら」
………ひええっ。
「それで南地区の僕たち暁は、4地区のなかではいちばん知名度があるけど立場は中立で平和ってとこ。…安心してくれていいよ」
「さ、最後の……0ってところは…」
「ああ、そこは───」
「沙蘭、そこらへんの説明はもう十分だろ。別に知らなくても問題はない」
やっと私にも興味のようなものが湧いてきたと思えば、まさかの一条くんに止められる。
沙蘭くんは何かを悟ったようにうなずいて、ニコッと笑った。