甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「あ、あの……いっこ、いいですか」



いっこ。

いっこだけだから。



「ん?なに?」


「その4地区のリーダーさんたちは…、みんなでこう…、争ったり……とか」


「あー、そこはぜんぜん。潰し合おうとか、そーいうのはレベル低いって思ってる連中ばっかだからサ。
ただ……お互いに名前が上がりすぎて違う部分で外部から狙われてはいる、かなあ」


「……ちがう、ぶぶん…?」


「そこはまた今度。わんこちゃんの身がもたないよ、きっと」



気になった途端に逸らされるって……。

もしかして沙蘭くん、犬丸のことお嫌いで……?


すると、ポツリと沙蘭くんはこぼした。



「……この子のヴァローレ額、500万もいかないかもね」


「…ええ。アタシもそう思うわ」


「暁にいて500万もいかないとか、それ大丈夫なの」


「まあ……彼が選んだ特別、って部分ではレアだと僕は思うけどな」



< 38 / 223 >

この作品をシェア

pagetop