甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
「あ、あの……いっこ、いいですか」
いっこ。
いっこだけだから。
「ん?なに?」
「その4地区のリーダーさんたちは…、みんなでこう…、争ったり……とか」
「あー、そこはぜんぜん。潰し合おうとか、そーいうのはレベル低いって思ってる連中ばっかだからサ。
ただ……お互いに名前が上がりすぎて違う部分で外部から狙われてはいる、かなあ」
「……ちがう、ぶぶん…?」
「そこはまた今度。わんこちゃんの身がもたないよ、きっと」
気になった途端に逸らされるって……。
もしかして沙蘭くん、犬丸のことお嫌いで……?
すると、ポツリと沙蘭くんはこぼした。
「……この子のヴァローレ額、500万もいかないかもね」
「…ええ。アタシもそう思うわ」
「暁にいて500万もいかないとか、それ大丈夫なの」
「まあ……彼が選んだ特別、って部分ではレアだと僕は思うけどな」