甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
猿さんも猫さんもどこか険しい顔のまま一条くんへ視線を移す。
そしてパンっと、ひとつ音が鳴った。
手を叩いた沙蘭くんは「自己紹介でもしよっか」と、和ませる。
「知ってると思うけど、僕は沙蘭 真修(さらん ましゅう)。わんこちゃんと同じ高校2年生ね」
「はいは~い!アタシは猿飛 凛太郎(さるとび りんたろう)でーすっ!実は実は!?犬丸ちゃんより先輩の高3なのよ~!!」
アッッッ………。
名前すっんげえ男の子だ……。
「猿じゃなくて、ぜったい“トビ”とか“リンちゃん”って呼んで?」
「と、トビちゃん……」
「きゃーー!まさかの組み合わせ~?センスいいわね犬丸ちゃんっ」
「ど、どうも……猿さん」
「あ”あ”!?」
ひええっっ!!
なに言ってるのさ犬丸……!!
たとえみんなに釣られてつい呼んじゃったとしてもっ、今の流れだとそれは確実に喧嘩売ってるにしかならないよ……!!