甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
ここで犬丸、察し。
犬丸が心配している心配ではなく、まったく違う意味の心配をトビちゃんはしているようで。
猫葉くんが無事なのは当たり前だと。
その信頼関係の強さ………パネェ。
「犬丸ちゃん。アタシたちにとってはすでに、これは絶対使命なのよ」
そして無事に家まで送り届けてくれた彼は、別れ際にやさしく言う。
あんなことがこれから常に起こるの……?
犬丸、断ったよ……?
これもう強制なの……?
「…ありがとう猿さん」
「あ”?」
「ひい…っ」
私が玄関のなかに入るまで帰ろうとしなかったトビちゃんは、完全に“護衛”をしてくれた。
「怖くなっちゃったの?わんこちゃん」
「……犬丸は……平和に過ごしたいだけっす」
「うん。だから僕たちが守るって言ってんじゃん」
そして今日は沙蘭くんだと。
委員会活動に残っていた放課後、直接的にこうして説得してくるのは沙蘭くんだった。