甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




家柄に才能、ルックス。

そこも振り当てられる“ヴァローレ額”に関係してくるものらしい。


人より秀でたり優れた何かがあると、どんどん額は上がっていって。

反対に無名であればあるほど額も減ってゆく。


それがこの界隈の男たちに選ばれた女の子たちの───いわば試練のようなものでもあるのだと。



「そういえば西のGlänz.Aは天才バイオリニストって言ってたっけな」


「ええっ、なにそれステキじゃない…!」


「たまにテレビにも出てるらしいよー。東のRain shadowもわりとすごいこと成し遂げた女の子だっていうし、まあ数千は余裕で超えてんじゃない?」


「それは益々会ってみたいわね!」


「やだよー。あんなド不良高校」



どうやらそれは最近みたいなのだ。

このルールが作られていって、それが“当たり前”になったのは。


だから暁にとって最初の女の子は、この犬丸。


ヴァローレ額は2円の犬丸ですこんにちはごめんなさい。



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