甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




「そこらの中堅グループだとしても500万以上は基本らしいし、どーすんの千明」


「どーすんのって、犬丸の価値は値段じゃねーんだよ。俺だけが知ってればいい」


「……せめて“俺たち”にしてくれない?」



沙蘭くんの言葉に、一条くんは瞳を伏せながら唇を伸ばした。

だとしても犬丸は絶賛テーブル下なのですが。



「犬丸、考えてみろって。1円玉が2枚もあるんだぞ。1枚じゃないだけ良くないか」



もうちょっとちょうだい一条くん。

足りない。
お褒めと慰めの言葉がまだ足りないぜ。



「俺は好きだけどな、1円玉」


「………いちまんえんよりも……?」


「…………」



もし目の前に1円玉と1万円札が並んでたら、迷わず1円玉を取ってくれる…?

正直いうと犬丸は諭吉さんに走っていくよ。


1万円もあったらルキくんグッズどれだけ買えるだろうとか、奮発してゲーム買っちゃおうかとか。



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