甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。




わあ……。

まるで我が子を見つめる眼差しだね一条くん。


フォトフレームを手に取って、ふわっと目尻を伸ばしていた。


そしてコトン。

定位置に戻してからの一言は。



「無理やりキスされたくなかったら出てこい犬丸」


「っ!!?!?」



なんっ、なんっ、……なんっ!?!?

母親不在を良いことに…!
マッマがいないのを良いことに…!!


…………き、す………?


キスってなんだあ爆発どっかーーーん!!!!



「たぶん忘れてるかもしんないけど。俺が犬丸に惚れてるの、知ってる?」


「────ハッッ!!!」


「ほらな」



だだだだたからってキスはっ、キッスは大人の方たちがすることでっ!!

犬丸は17歳だけど体感としては7歳くらいだから……。


ほら、一条くんだってさっき写真見て「やっぱり同じだ」って言ってたもんね…?



「諦めろ犬丸。逃げたって何度も捕まるだけなんだぞ」



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