甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。
あれ……?
なんか…、一条くんの目が変わった。
熱視線がもっと、熱。
ちょっとだけ怖くて、吸い込まれそうで、いちばんはドロドロに甘い。
練乳に練乳をかけて練乳を混ぜてくたくたに煮込んだやつだ……。
「今にも持ってんだよ犬丸は。それ、早く俺のものにしたいんだけど」
「………、」
やっぱり犬丸には特別な力があるのかもしれない…。
一条くんにしか見えていない、特別な力が。
ここから物語はもしかするとファンタジーの世界へと。
「あー、ぜったい伝わってねえわこれ……」
それからマミさんが犬丸の前に現れることはなくなった。
なにか彼女の気持ちに変化があったのかは分からないけれど。
噂によれば。
そのとき動いたのは沙蘭 真修という人だったと。
『きみが今後、どれほどのヴァローレ額を持って僕らの前に現れたとしても。───僕たち暁が選ぶのは犬丸 亜古、一択』
どうにもそんなことを言ったという………噂。