捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
「あの、失礼いたしました。変な意味ではなくて……」
「悪い、結婚の承諾をもらって浮かれてしまった。仕事を口実に断りもなくキスをして……嫌だったか?」
まさか亮介から『浮かれている』なんてワードが飛び出すとは思わず、凛は驚きつつ首を横に振った。
(そっか、結婚を嬉しく感じているのは私だけじゃないんだ)
亮介が結婚を喜ぶ理由は不要なお見合いを断るストレスから解放され、両親を安心させられること。
凛とは嬉しい方向性が違うが、今はそれでもいい。
「そうか。では今後は秘書として、そして妻として、よろしく頼む」
「はい。こちらこそ、至らぬところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします」