捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした

* * *

十一月最後の週末。亮介にデートに誘われた凛は、約束の一時間も前からそわそわと落ち着かなかった。

『自宅まで迎えに行く。着いたら電話するから用意をしておいてくれ』

朝からシャワーを浴び、普段以上に丁寧にメイクを施していると、双子から「凛ちゃんお出かけ?」と尋ねられた。恥ずかしさはあったものの、先日挨拶に来た亮介と出掛けるのだと話すと、ふたりは大騒ぎしながら凛の部屋へやって来てヘアアレンジをしてくれた。

「デートならちゃんと可愛くしていかないと。ってか凛ちゃんのクローゼットに服がめちゃくちゃ増えてるー!」
「えっ、ほんとだ! これほとんどソルシエールじゃん!」
「あ、こら。勝手に開けないの」

口先だけで窘めたところで、テンションの上がった双子にはまったく届かない。

「あのイケメン副社長が買ってくれたの? 凄い、ちゃんと凛ちゃんをわかってるチョイスだー! 愛されてるねぇ、凛ちゃん」
「まさか凛ちゃんの彼氏があんなハイスペックイケメンだったなんて。ねぇ、いつから付き合ってたの? この前の挨拶の時はあんまり詳しいこと聞けなかったからさ―。あ、このワンピースよくない?」
「いいね! はい、凛ちゃんこれ着て。で、どっちから告ったの?」

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