捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
凛と同じバスローブを着ているが、胸元は大きくはだけていて目のやり場に困る。大人の男の色気というものを具現化したような佇まいにクラクラした。
「は、早かったですね」
「逃げ出す暇もなかっただろう」
「……逃げません」
この期に及んでそんな心配をされているのだろうかと亮介を見上げると、まだ髪から水滴が滴る彼の顔面が目の前に迫ってきた。
「ん……」
目を閉じてそのキスを受け入れた途端、ふわりと身体が浮く感覚に驚いた。
「キャッ」
凛を横抱きにした亮介はつかつかと歩みを進め、リビングの奥にある寝室へと移動する。
大きなベッドの上に横たえられると、そのはずみでバスローブがはだけて右の肩が剥き出しになっていた。