捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
リュミエールの御曹司の結婚式ともなれば、招待客はとんでもない人数になるだろう。現在目下準備中の社外に向けた創立記念レセプションと同規模になる可能性だってある。
亮介は「ふたりの結婚式なんだ、気にせずに凛がやりたいようにしよう」と言ってくれたが、そういうわけにはいかない。凛は自分が主役の花嫁であることを忘れ、義父である茂樹に海堂家の意向やしきたりを確認し、つつがなく準備しなくてはと心の中でこっそりと気合いを入れた。
* * *
「……あれ?」
打ち合わせから自席に戻り、パソコンを起動しようとして首をかしげた。いくらマウスを動かしても、ロック画面の真っ黒なディスプレイのままだ。
(あれ? またマウスの調子がおかしいのかな?)
数日前も同じようなことがあったため、もしかしたらマウスではなくパソコンの調子がおかしいのかもしれない。
再起動しようと電源ボタンに手をかけた時、恵梨香が後ろから声を掛けてきた。