捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
「凛、お昼外に行くんだけど一緒にどう?」
「あっ、行きたいです」
ここのところ多忙すぎてゆっくりランチすら取れていない。今日も忙しいのは変わらないが、ずっと気を張り詰めていたらいつか倒れてしまう。
(戻ってきても調子がおかしいようなら、情シス部に連絡してみよう)
凛はパソコンをスリープ状態にしたまま、恵梨香とふたりで近くの洋食屋へ向かった。互いに手早く注文を終えると、早速恵梨香から質問攻めにあう。
「それで? 副社長とはいつから付き合ってたの? チーフの浮気発覚からいきなり副社長と結婚だなんて、本当にビックリしたんだから!」
「ご心配をおかけしてすみません。急展開で実は私も混乱してて……」
「そうよね。でも責めてるわけじゃなくて、よかったなって思って。やっぱり男が変わると女も変わるのね」
「そ、そうでしょうか……?」
「服装とか髪型が変わったってだけじゃなく、いい恋をしてるんだなってわかるもの。女性を綺麗にすることにかけては、コスメも敵わないかもね」
クスッと笑う恵梨香の言葉に、凛も微笑み返す。